WEB表示と印刷について
『WEB雑誌』とは?
Chapter.4 WEB表示と印刷について
『WEB雑誌』の自費出版。まずは大手のKindleとなりました。ミーハー的に選んだことは否めませんが自費出版の実績も踏まえて考えた結果です。
そんな時、Amazonからの発表がありました。
なんと「Kindle」に印刷本も選択できるサービスが開始になったとの記事(2021/10/19)が!
なんてタイムリーな♪と思ったメンバーもいます。
“先見の明”に自画自賛してしまいそうでしたが、今からいきなり印刷できるのか?
やはり壁があるようです。
印刷サービスの詳細はまだ不明ですが、私たちが対応できるのか、掘り下げて説明します。
色の管理
そもそも、WEBと言うことは、ディスプレイにコンテンツを表示します。
ディスプレイは、光で表現されるため、R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)の色を管理します。
全ての光を均等に反射した場合に白色と認識され、全ての光を吸収した場合、黒色と認識されます。それは、光は混ぜ合わせると白に近づいていくからです。(これを加法混色と呼びます。)
それに対し、紙に印刷する場合はインクで表現するため、C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(キープレートの黒)の色を管理します。
シアン・マゼンタ・イエローを均等に混ぜ合わせた場合には、全ての光を吸収して黒色と認識されます。(これを「減法混色」と呼びます。)
このように、仕組みが違うので、RGBで制作したものを印刷すると、色がくすんで見えたりします。なのでWeb上に表現する場合はRGB、印刷物にするにはCMYKのモードでそれぞれのコンテンツを制作することが重要になります。
もちろん表示できないわけではないし、家庭用のプリンターに印刷することもできます。
RGBからCMYKに色モードを変更することも可能ですが、印刷後の色を想定しておく必要があります。意図した色でない場合は調整する必要があり、このような色の違いによるエラーを防ぐために印刷屋さんはRGBモードのデータは受け付けてもらえません。
(最近は、印刷のネット注文でpdf入稿に限りRGBのままで可のところも)
色の管理を普段から意識することは少ないと思いますが、デジカメやスマホで撮影することは誰にでもあると思います。その時、写真データのサイズを気にしたことはありませんか?このデータサイズに関連する解像度や画素数についても少し説明します。
解像度と画素数
「画像解像度」というのは、画像の精度のことです。
画像をパソコンで拡大していくと、細かな点がたくさん集まって表示されます。全てのデジタル画像は、細かなドット(点)の集合体でできているからです。
このドットが1インチ(2.54cm)あたりにどのくらいの密度で集まっているのかを数値化したのが「画像解像度」です。解像度を表す単位が「dpi」(dot per inch:1インチあたりのドット数)です。
72dpiは、1インチあたり72ドットの画像解像度
350dpiは、1インチあたり350ドットの画像解像度
この例、1インチという単位は変わらないので、72ドットと350ドットではドッド数が違うので細かさが相当違うことがわかります。
一般的に、解像度が高ければ高いほど画像はきめ細かい表現が可能になり、高品質な印刷ができます。解像度が低いということは、その画像を構成するドットの密度が低いので、画像解像度が低い。つまり写真がぼやけて画質が悪くなります。パソコンで見ている分にはきれいな写真であっても、解像度が低いものは実際に印刷すると画質の悪さが目立ちます。
実はWebで表示される解像度の目安は72dpiなのです。
画面上では綺麗に表示されていても72dpiの解像度は印刷用途としては低いため、印刷するとぼやけてしまう場合があります。印刷に適した画像解像度は、フルカラー印刷の原寸サイズでは350dpiが適切と言われています。
また、カメラの説明などでよく聞く「画素数」ですが、画素数とは、画像を構成する画素の数ことです。画素の単位はピクセルです。
例えば1,200万画素の画像というのは、画像比率(縦横)を4:3とした場合、4,000ピクセル×3,000ピクセルの画素で構成された画像という事になります。
画素数が高ければ高いほど、多くの画素で表現されるため、より鮮明な画像になります。モニター表示で拡大しても鮮明な状態を保てるからです。一方、少ない画素で構成された画像の場合は、粗い画像になります。
スマホで撮影した写真が印刷物の使用に耐えれるか気になるところですが、それには基準になる計算式があります。
(例)1,200万画素で撮影した写真を、フルカラー印刷(350dpi)で使用する場合
4,000ピクセル÷350dpi×25.4mm≒290mm
3,000ピクセル÷350dpi×25.4mm≒217mm
217mm×290mmのA4サイズであれば350dpiの解像度を保つ事ができます。
つまり
「1,200万画素のスマホカメラであれば、写真はA4サイズまで使える」ことになります。
(撮影技術に問題がある場合は除きます)
ちなみにiPhoneの場合、iPhone SE以降のカメラは1,200万画素です。
画素数が多く、解像度の高いデータほどデータは大きくなります。そのため保存先の容量をたくさん使用してしまうので保存できる枚数が少なくなります。大判印刷を必要としない限り、実はそこまでの画素数は必要ないのです。
私も一眼レフで撮影するとき、お客様のデータはLサイズまたはRAWで撮影しますが、普段はMサイズにしています。大きければ大きいほどファイルサイズが大きくなり、保存先の容量を圧迫するからです。また、Webサイトに限定しているデータは解像度を72dpiにしています。
なんだかスマホカメラの説明のようですが、実はスマホで見ることもある“Web雑誌”はデータサイズが重要なのです。
ストレージのことは先の章でも説明しましたが、雑誌のデータが大きすぎるとダウンロードしたくてもできない人、通信環境が良くないからアクセスしても表示が遅くなる人が出てくるのです。
雑誌に写真はつきものです。色の管理は何とかなるにしても問題にしているのは、実はデータ量なのです。
例えば、本の印刷をコスト度外視で家庭画報ばりの綺麗な印刷をするとします。膨大な写真を大きな画素数かつ高い解像度で雑誌を作ります。データ量も膨大になりますが、印刷してしまえば、本の大きさ・重さは同じです。全てのお客様に平等です。
それに対してWebサイトで表示する場合、データが大きすぎる。いわゆる“重い”と見てもらえない場合が出てくるのです。1ページはそれほどでもないサイズでも、1冊分のデータが集まるとページ数分重くなります。また、文字だけなら軽いのですが、写真を多用しているページでは、そのデータ量にバラつきがあります。しかし、雑誌の写真は重要なコンテンツ。削除することはできません。綺麗に見せることとデータ量としての重さのバランスが重要になります。(まだまだ悩ましい問題がありますが…)
今の状態で印刷したら解像度を落としているので粗くなります。また、RGB管理の問題もあり暗めに印刷されることでしょう。
最初から編集者が2本立てで並行して編集すればWEB雑誌と印刷した紙の雑誌を同じレベルで発行できるのかも知れませんが、もう編集が進んでる今の段階では、時間的にも労力的にも無理と私は判断します。
この章については、メンバー全員が理解しているわけではないので詳しく書いておこうと思い長々とした説明した次第です。大変申し訳ございません。
でも、この情報が何かのお役に立てれば幸いです。
素人考えだからこその無謀な挑戦!
次があるのか?
とりあえず出版に向けたコラムは、これをもちまして終了にさせていただきます。
ご覧いただき、ありがとうございました。
あとがき…
先に答えを言うと…
雑誌ではなくて、一定のレイアウトで構成するレシピ本とかの方が簡単でしたね。
これも素人だからの無謀さでした。それぞれの個性を丸出しにした構成です。なるべく統一感を。と最後に多少の歩み寄る努力をしましたが、皆様にはそこら辺も含めて楽しんで踏み台にしていただけたらと思います。
ライター MIHARU